その医師を、追ってはいけない。

11月13日に公開された「ドクター・デスの遺産ーBRACK FILEー」を映画館で見てきたので、そのあらすじと感想についてまとめていきます。
ネタバレを含むあらすじも書いていくのでまだ見ていない人、ネタバレが嫌な人はブラウザバック推奨。
- キャスト・スタッフ・放映時期
- あらすじ
- レビュー
- 口コミ
この作品を見て一番に思ったことは安楽死の選択が間違っているとは言えない、ということ。
普段の生活ではあまり考えない「大切な人の死」について実際に自分が同じ立場ならどうしたいか、どうするべきなのかいやでも考えてしまうような内容でした。

どんな人におすすめ?
- ミステリー好き
- 役者さんの演技を楽しみたい
- 北川景子さん・綾野剛さんが好き
『ドクター・デスの遺産』のキャスト・スタッフ・放映時期
「ドクター・デスの遺産」のキャスト・スタッフ・放映時期の紹介です。
- 犬養隼人:綾野剛
- 高千穂明日香:北川景子
- 沢田圭:岡田健史
- 室岡純一:前野朋哉
- 青木綾子:青山美郷
- 馬籠健一:松原正隆
- 馬籠小枝子:ホーチャンミ
- 麻生礼司:石黒賢
- 犬養沙耶香:田牧そら
- 原作:中山七里『ドクター・デスの遺産』(角川文庫 / KADOKAWA刊)
- 監督:深川栄洋
- 脚本:川﨑いづみ
- 主題歌:[Alexandros]「Beast」(UNIVERSAL J / RX-RECORDS)
- 配給:ワーナー・ブラザース映画
- 制作プロダクション:光和インターナショナル
- 製作:「ドクター・デスの遺産-BLACK FILE-」製作委員会
公開:2020年11月13日
『ドクター・デスの遺産』のあらすじ
「ドクター・デスの遺産」のあらすじを紹介します。全体の流れに従ってみていない人にも大まかな内容は伝わるように書いていくのでネタバレ注意!
始まりは少年からの電話
雨の日の夜、少年の馬籠大地が110番通報で「お父さんが殺された」と話します。
犬養隼人は娘の紗耶香が入院している病院に見舞いに来ていた。そこに相棒である高千穂明日香が事件のことを知らせにやってきてそのまま捜査に向かう。
大地に話を聞きに行くふたり。父の健一は末期の肺がんを患っており自宅で療養していたという。父が亡くなった日は「医者が二人来た」という大地の証言をもとに捜査を進める。
解剖の結果一人目の医師によって塩化カリウム製剤を投与されたことが死因ということが判明した。監視カメラから一人目は看護師を連れていたことがわかる。
捜査の中で動画に映りこんだ看護師が判明

大地の母親から「ドクター・デス」という安楽死を請け負う医師のサイトに依頼をしたことを聞く。苦しむ夫のことを安らかに眠らせたいという彼女の願いでありドクター・デスに感謝の念まで抱いていた。
サイトをもとに捜査が進みほかにも安楽死を依頼したものがいないかを探している中、岸田正人にたどり着く。彼もまたドクター・デスの被害者だった。そのほかにも数人の被害者を見つけた。
ドクター・デスへの依頼者の証言をもとに医師の似顔絵を作成したが、証言が食い違っており彼らはみなドクター・デスのことを庇っていたのだ。
そこで何かヒントを見つけるため岸田正人の生前最後に撮影した映像に白衣を着た看護師が小さく映り込んでいるのを見つけ、その人物を確保することに成功した。その看護師は雛森のぞみという名だった。
雛森を釈放しドクター・デスの動きを観察
雛森はネットでアルバイトに応募し、安楽死のことは知らずに鎮痛剤だと思いドクター・デスの手伝いをしていたと語った。犬養が「ドクター・デスは薄汚い連続殺人犯」だと罵ったが犬養に病を患っている娘がいると知った雛森は「お嬢さんが早く楽になりたいと言ったら?」と尋ねる。犬養は「そんなこと言うはずがない」と激怒するも、少し動揺を見せた。
家宅捜索からも特に何も出てこなかったため雛森は釈放となる。ドクター・デスが接触してくる可能性もあるため、刑事に見張らせる。
似顔絵捜査官の経験がある高千穂がその経験からもう一度似顔絵を作成しなおし依頼者に見せると「この男がドクター・デスです」と証言する。
似顔絵をもとに河川敷に住むホームレスの男が逮捕された。名前は寺町亘輝という5年前に出所した人物だった。寺町は「俺が殺した証拠があるわけない」と大笑いする。
そんな中、雛森を見張らせていた刑事から、見失ったと連絡が入る。
ドクター・デスの正体は・・・!
雛森が住んでいたアパートの隣の部屋には安楽死の被害者の写真がつるされていた。ドクター・デスの正体は雛森だった。
雛森は犬養の娘紗耶香にカウンセラーとして接触。紗耶香が犬養の重荷なっていると思わせ、さらにはドナーを待っている紗耶香は人の死を願っていると語った。紗耶香は泣きながら意識を失う。
娘の紗耶香がドクター・デスに依頼
紗耶香が目を覚ますと机にタブレットがおかれており、ドクター・デスのサイトが映っていた。紗耶香はドクター・デスに安楽死を依頼してしまう。最期は「家族の思い出の場所」で迎えることにした。
雛森は犬養に電話をかけ「私は救世主だ」と話す。
その後紗耶香から連絡があり「ごめんなさい、お父さん。ドクター・デスに依頼をしてしまった。だけどやっぱり死にたくない、助けてお父さん。」と犬養は悲痛な声を聞く。
病院に向かった犬養と高千穂だったが紗耶香の姿はどこにもなかった。雛森から電話を受け「娘の旅立ちを一緒に見送りたいなら家族の思い出の場所にひとりで来るように」と言われる。
事件の結末

犬養が昔家族で行った河口湖近くのコテージに行くと、ベッドに紗耶香が眠らされていた。雛森は自分のことを「薄汚い殺人犯」と罵った犬養のことが許せなかった。犬養に馬乗りになり犬養までをも殺そうとする。
そこで遅れてきた高千穂が銃を構えながら突入。雛森を蹴飛ばし逮捕することができた。
犬養と紗耶香も無事に終わった。
一方で雛森は独房で安楽死させた患者のことを想ってひとり佇んでいた。
以上が「ドクター・デスの遺産」の大まかなあらすじになります。
YouTubeにて予告編も公開されています。見てみてください。
レビュー
ここから個人的感想を書いていきます。
安楽死という最期について深く考えさせられる

この作品は「死」がテーマになっています。それも自らが望む安楽死について取り扱っています。
病気や事故で体はもう動かなくなってしまい苦しいのに現在の医療の発展によって、生き続ける選択しか与えられない。言い方は悪いかもしれませんがいわば無理やり生かされている、そんなふうに感じるっていう患者さんも少なくないのかもしれません。
自分が生きていることで家族や恋人に無理をさせているかもしれない、負担になっているかもしれないというのは病を患った人が陥る感情の一つかもしれません。もう長くはない自分の苦しむ姿を見て大切な人が泣いている姿を見たくないと思って自ら死を望む声が出てくるのは至極当然のように感じてしまいます。
自分が重い病気を患っていたらとか大切な人が苦しんでいたらとか想像してしまい、自分ならどうするかを想いながら見てしまう人生の最後について深く考えさせられる作品でした。
役者陣の熱演がすごい!

主演の綾野剛さん、北川景子の熱演はすさまじいものでした。テーマが重い作品なのでシリアスな場面が続きますが、緊迫感のある表情に静かながらも重みのある声。見ているものをぐいぐいと引き込んでしまうような演技にさすがとしか言いようがありません。
そんななか僕が引き込まれたのはネタバレになりますが、ドクター・デス役の木村佳乃さんです。その見事な怪演には息をするのも忘れて見入ってしまいました。言っていることは間違いだと思いたいのに確かにそうだとどこか納得してしまうような不思議な感覚と終盤のあの迫力はすごかったです。それだけでもこの作品を見る価値があると思うぐらいでした。
あとは主人公の娘役の田牧そらさんもかなり良かった。ドクター・デスとのカウンセラー時の表情や涙、犬養に電話を掛けた時の声などは素晴らしいものでした。
めちゃくちゃ褒めちぎりましたが、それぐらい役者陣は完璧で、文句のつけようもありませんでした。
前半は少し退屈、後半はハラハラ

脚本についてですが、僕は予告編を見ていて話の流れというかこんな感じなんだなと思っていたので前半の導入から寺町確保辺りまでは少し退屈に感じてしまいました。予告編で情報を出しすぎなのかなとも思いましたが、実際その予告で面白そうと思って映画館に足を運んだので予告編を作るのって塩梅が難しいなと感じました。
けどドクター・デスの正体が判明してからの流れはとてもハラハラして見ていて飽きませんでした。シリアスな展開に役者陣の演技、さらには自分を重ねることでいろんな見方ができるなーとワクワクしながら見れました。
最後あたりの雛森の死者のことを思い出すシーンは、厳かで神々しいながらもどこか怖さも感じるような空気で今作で一番印象に残りました。
ラストシーンの犬養と高千穂の相棒感満載のシーンもきれいに終わってよかったように感じます。

レビューでは結構酷評されてますが、僕的には十分楽しめました。
全体的に静かな雰囲気

劇中の音楽に関しては少し不満でした。
BGMはあまりかかっていなくてとても静かに映像が流れています。テーマが重いのでこれはいいんですが、寺町発見時のBGMは正直ダサいなと感じました。僕の感性の問題かもしれませんが・・・笑。
あとは意味不明な間が多かった気がします。音楽もかかっていないのでこの微妙な間は一体なんだと違和感を感じざるを得ませ。
主題歌は普通にめっちゃかっこよくていい感じでした。
もう少し・・・な点

さらに少し「ん?」と感じたこともありました。
僕はこの作品は結構ミステリーよりなのかなと思って見に行ったんですが、ちょっと違いました。そこまで謎に凝っているわけでもなくミステリーの要素もあるよって感じ。シークレットキャストとしている割に柄本明さんは序盤で出した声のせいで分かってしまいましたし、木村佳乃さんも取り調べのあたりからただの看護師ではなくこいつがドクター・デスなんじゃね?とも思ってしまいました。

ミステリー好きの僕ですが、まあこれはこれで楽しめたかとは思います。
あとは人物の深掘りが浅すぎました。そのせいで本来感動で涙できたシーンも少し感動が薄かったなと思います。主人公だけでも良かったので過去のこととかもっと触れてもいいのになと。娘が病気になったときのエピソードとか闘病中のエピソードがあればもっと共感出来たのかもしれません。

原作ではドクター・デスがどうして安楽死殺人に手を染めたのかも描かれているらしいので読んでみたいな。
ラストのとこでいうと高千穂はなんで河口湖のコテージがわかったの?とも疑問でした。「なんでわかったんだ?」的な犬養の言葉にも「家族の思い出の場所と言えばあそこしかない」としか言っておらず頭の中では「???」でした。娘の紗耶香から聞いていたんでしょうが、そのシーンあったっけ?と僕が見逃したのかって思っちゃいました。
少し不満はあるものの作品としては普通に楽しめたかなって思います。
口コミ
続いてTwitterでほかの人の感想を調べてみました。

やはり役者陣がすごいという声が多かったです。その反面ストーリー的には微妙という声もありました。
まとめ

さて、いかがだったでしょうか。
テーマ的に僕は結構好きだったので、終始ハラハラドキドキしながら見れました。
まだ見ていない人も予告編で雰囲気を見てみて面白そうと思ったら見てみてください。考えさせられるいい作品だったので見る価値はあると思いますよ。
それでは長くなりましたがこれでこの記事はおしまいです。
またほかの映画もレビューしているので良ければのぞいてみてくださいね。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
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